函館地方裁判所 昭和36年(ワ)253号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕原告は、本件さけ・ます流網漁業の権利を有したと主張し、これを任意に譲渡ないし処分できたとして、主張のようにその権利を被告に対し仮装譲渡したというのであるけれども、原告が主張の漁業許可を得たという昭和三〇年度以前より右規則が失効する同三八年二月一日に至るまでの間、右判示の通り、本件さけます流網漁業は、申請に基づいて許可を受けた者のみがこれを営むことを許され、同規則第一六条第一項但書所定の承継人に対しては右の許可の効力が及ぶけれども、その余の者に対しては、その許可の効力が及ぶものでなかつた。従つて原告主張の八崎丸による四九・九八トンの同漁業許可(成立に争ない乙第一号証の一、同第三号証によれば、原告は昭和三〇年度の本件漁業を同三一年二月頃廃止したことが認められる)に相当する枠内の同漁業許可が、その後かりに被告に対してなされたとしても、その許可は原告が権利を被告に譲渡したことに基づくものということはできない。右漁業許可について、従前、さけ・ます流網漁業の許可を受けていたものがその漁業を廃業し、他人にこれを承継させる旨の意向を表示した場合に、かりにその他人に対してその漁業許可がなされたとしても、法上右漁業許可の承継ないし譲渡がなされたものとはなし得ない。それゆえ原告と被告との間に原告主張のような譲渡行為なるものが、かりになされたとしても譲渡の客体たるべきものはないというべきであるから、これが法律的に移転するというわけにはいかないし、両名の通謀仮装に基づくかどうかに言及するまでもないといわなければならない。(長利正己 大石忠生 高畠由和)